誰かに相談されたとき、役に立つことを言わなければと思う。相手の話を聞きながら、自分の知っている方法を探し始める。悪気はなくても、その結果、相手が本当に困っている場所を通り過ぎてしまうことがあります。
伝えることを考えるなら、その手前にある「聞くこと」も見直したい。答えを持っているかどうかより、どの場面で困っているのかを一緒に見られる方が、話が進むことがあるからです。
同じ悩みに聞こえても、止まっている場所は違う
「文章が書けない」という言葉だけでは、題材がないのか、最初の一文が出ないのか、書いた後に公開できないのか分かりません。それぞれ必要な話が違います。
「毎日書くと慣れるよ」と返す前に、「最後に書こうとしたとき、どこまで進んだ?」と聞いてみる。すると、意見をぶつけ合う会話から、具体的な場面を見る会話へ変わります。
相手が自分で説明しながら、困っている点に気づくこともあります。そのとき、こちらが立派な結論を用意していなくても、話を聞いた意味は残ります。
自分の経験を、すぐに重ねない
似た経験があると、「自分のときはこうだった」と話したくなります。その経験が助けになることもありますが、似ているところだけを見て条件の違いを飛ばしてしまうこともあります。
使える時間、すでに試したこと、避けたいこと。自分には小さな負担だった手順が、相手には続けられない場合もあります。経験談を話す前に、違いがどこにあるかを少し確かめます。
これは相手の話を何でも肯定するということではありません。意見を伝えるためにも、まず何について意見が分かれているのかを揃えたいのです。
言葉をそのまま返すと、思い込みに気づける
聞いた内容を自分の言葉で短く返すと、理解が合っているか確かめられます。「時間が足りないというより、始める前に調べすぎてしまう感じ?」。違っていれば、その場で直してもらえます。
ここで気の利いた言い換えをする必要はありません。相手の話を、自分の得意なテーマへ連れていかないことの方が大切です。
書くときにも、聞く姿勢を持っておく
文章も同じで、読者の疑問を想像する前に、自分の言いたい結論だけが大きくなると距離ができます。正しい説明でも、いま聞きたいことと違えば届きません。
次に誰かと話すとき、一度だけ解決策を急がず、直前にあった出来事を聞いてみてください。相手を見る時間が増えると、自分の言葉も少し変わってくるはずです。

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