AIと人間、どちらが物語を紡ぐのか?生成AI小説が問いかける創造性の本質

生成AI

「この小説、本当に人間が書いたの?」

そんな疑問を抱かせるほど、いま生成AIが書く物語は自然で完成度が高くなっています。

私自身、趣味でAIに物語を書かせてみたとき、思わず感情を揺さぶられるシーンが出てきて驚きました。

けれど同時に、「じゃあ人間が物語を書く意味はどこにあるのだろう?」という問いも浮かびます。

今回は、AI小説をめぐる不思議で刺激的な世界を、私自身の体験や感情の揺れも交えながら掘り下げてみたいと思います。

初めてAI小説を読んだ日の衝撃

最初にAI小説を体験したのは、ChatGPTに「異世界転生ものを書いて」と頼んだときでした。

出てきたのは、ありがちな設定――交通事故で死んだ主人公が剣と魔法の世界に転生するというもの。

正直「テンプレじゃん」と笑ったのですが、読み進めるうちに妙に引き込まれてしまったんです。

なぜか?

キャラクターのセリフが自然で、テンポが良かったからです。

「いや、この会話劇は普通にラノベで通用するのでは?」と本気で思いました。
「あれ、プロット作ってもらうだけじゃなくて、もう本文もこいつに書いてもらえばよいのでは?」と趣味で小説を書いている私としては、自分が高めてきた執筆力が不要になってしまったようにも思いました。
 
イラストレーターさんが画像生成AIに反対するのって、こんな感じかな、って。
 
いや、あの方々は自分の絵が学習に使われてるからもっと直接的に被害にあってるんだと思うんですが。

ただ、読み終えた後に残ったのは感動よりも、どこか空っぽな感じでした。

「上手いんだけど、何かが足りない」――まさにそんな感覚です。

AI小説の強みと弱み

AI小説の強みは明らかです。

  • 圧倒的なスピード

  • 文法の安定感

  • パターンの多様さ

例えば、私が「推理小説風に書いて」と頼んだときは、数分でトリックの入った短編が出てきました。

これを自分で構想していたら、数日はかかったはずです。

でも弱みもあります。

  • 深いテーマ性が希薄

  • キャラクターの感情が似たり寄ったり

  • 驚きの展開が少ない

AIは“言葉のつながり”は得意ですが、“人間の実感”を描くのはまだ苦手。

この差が「読みやすいけど心に残らない」という結果につながるのだと思います。

余談:AIに恋愛小説を書かせたら

ここでちょっと余談を。

私はあるとき、AIに「切ない恋愛小説を書いて」と頼みました。

出てきたのは、遠距離恋愛のカップルがすれ違いを経て再会する物語。

読んでいるうちに「おお、なんか青春だな」と胸が熱くなってきたんですが、肝心の再会シーンがやたら淡白で…。

「そこで泣かせに来ないのかよ!」とツッコミを入れてしまいました(笑)。

このとき、「やっぱり人間の“盛り上げの勘所”はAIにはまだ難しいんだな」と感じました。

逆に言えば、人間は「感情のクライマックスを作る」ことが得意なのかもしれません。
 
まあ、小説を書いている身からすると、人間でも感情のクライマックスを作るのは難しいんですが。
だからこそ、そう簡単にAIにできてもらってたまるか、という話で、苦手らしくてひと安心、って感じです。

人間が小説を書く意味とは

ここで本題に戻ります。

AIがこれだけ小説を書けるようになったとき、人間がわざわざ時間をかけて物語を書く意味はどこにあるのでしょうか?

私は「書く行為そのものに意味がある」と思っています。

小説を書くというのは、感情や体験を整理するプロセスです。

たとえば、失恋したときに物語を書くと、自分の感情を外に吐き出して救われることがあります。

AIが代わりに書いてくれるとしても、その「癒しのプロセス」までは代替できないんです。
 
そんな小難しいことを抜きにしても、小説の書くっていうのは、ハマる人はとことんハマる趣味です。
私みたいな文章を書くことが好きな人間からすれば、ただ書いてることが楽しいのです。

さらに、人間の小説には「不完全さ」や「偏り」が必ず混じります。

それが逆に、強烈な個性として読者の心を動かす。

AIには出せない“ざらつき”こそが、人間の物語の価値だと思います。

AIと人間の協力で生まれる新しい物語

AIを敵と見る必要はありません。

私は実験的に「AIにプロットを作らせて、自分で肉付けする」という方法を試しました。

これが意外と楽しい。AIが提示してきた突飛なアイデアに、自分なりの感情や経験を重ねると、独りでは思いつかなかった展開が広がっていくんです。

AIは“無限の下書き製造機”。

人間は“感情を吹き込む存在”。

両者がタッグを組めば、これまでにない小説が生まれるのではないかと本気で思います。

ただし、気を付けないとあいつ(GPT)、これこれこういうシーン書けるけどどうする?とか言ってくるんで、マネする人は要注意です。
私はそれで「書くのは私の仕事でお前はアイデア出し担当だ!」って怒ったことあります(笑)。

AIに嫉妬する気持ち

ここで正直に告白すると、私はAI小説にちょっと嫉妬しています。

自分が何日も悩んで書いた文章と、AIが数分で吐き出した文章が並んでいたら、「なんだかなあ」という気持ちになる。

特に、AIの方が読みやすいと感じてしまったときの悔しさといったら…。

でもその嫉妬心が、逆に「じゃあ自分にしか書けないものを探そう」というエネルギーになりました。

この感情の揺れもまた、AI時代ならではの創作の刺激だと今は思っています。

まとめ:物語を紡ぐのは誰か?

生成AI小説は、

  • 読みやすくて完成度が高い

  • でも感情の深さやテーマ性では人間に一日の長がある

  • AIはアイデアを広げる相棒になりうる

  • 人間は「感情の体験」を物語に落とし込める

つまり、物語を紡ぐのはAIでもあり、人間でもある。

そして両者が協力すれば、もっと新しい物語の形が生まれていく。

最後に。

私はこれからもAIに小説を書かせると思います。

でも、机に向かって悩みながら書く時間も手放すつもりはありません。

だって、その苦しみと喜びこそが「人間として物語を紡ぐ意味」だと思うからです。

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