「これ、AIに聞いちゃって大丈夫かな?」
私はあるとき、会社で進めているプロジェクトの資料を作っていて、ふとした疑問が湧きました。
「この分析の見せ方、もっと分かりやすくできないかな?」と。
そこで思わずChatGPTに聞いてしまったんです。
入力した瞬間、背中に冷たい汗が流れました。
「待てよ、これ社外秘のデータじゃないか?」
そう、AIに質問することは、便利であると同時に、情報を外に漏らす行為でもあるんです。
幸いそのデータは社外秘ではなかったので、問題なかったのですが……。
その日から、私は生成AIと情報漏洩の関係について真剣に考えるようになりました。
なぜAIに秘密を話すのが危険なのか
生成AIは便利です。文章を書いてくれるし、資料のアイデアもくれる。
でもその裏には「入力した情報が保存されるかもしれない」というリスクが潜んでいます。
AIサービスの多くは、ユーザーが入力したデータを学習や改善に利用する可能性があります。
つまり、「社外秘」「個人情報」「機密契約」のようなデータをうっかり入力すると、それが第三者の目に触れる可能性もゼロではないんです。
実際に、海外の大企業が従業員に「ChatGPTへ業務情報を入力禁止」と通達した事例もありました。
この背景には、情報漏洩が一度でも起これば信用を失うリスクがあるからです。
私の“小さなヒヤリ”
正直に言うと、私も一度AIに“危ないこと”をしてしまったことがあります。
社内のアンケート結果を分析していたときのこと。
数値の傾向をつかみたくて、ついコピーしてAIに貼り付け、「傾向を要約して」と依頼してしまったんです。
そのときAIが返してきた答えは素晴らしかった。見やすくまとまっていて、グラフのアイデアまで提案してくれました。
「おお、これは楽だ!」と一瞬テンションが上がったのですが、すぐに気づきました。
「これ、社員の声を外部に晒してるのと同じじゃないか?」
幸い社名や個人名は伏せていたので大事には至りませんでしたが、ヒヤリとしました。
AIは便利だけど、やっぱり「入力内容には常にリスクがある」という事実を突きつけられた瞬間でした。
情報漏洩が起きるシナリオ
実際にどんなシナリオで情報漏洩が起きるのか?
いくつか具体例を挙げてみます。
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社内文書をそのまま貼り付けて要約させる
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顧客リストを入力して「傾向を分析して」と依頼する
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秘密の企画アイデアを相談する
どれも「便利だからつい」という気持ちでやってしまいそうなものばかり。
でも、こうしたデータがもし他者に流出したら…?想像しただけで背筋が寒くなります。
AIに恋愛相談したら
ここで余談をひとつ。
私は以前、AIに「片思いしている相手にどう接したらいいか」を相談したことがあります。
もちろんこれは個人の悩みだから大丈夫…と思ったのですが、後から冷静になると「これもプライバシー情報なんだよな」と気づいたんです。
「AIに恋愛相談をするのも、立派な情報提供の一種なんだ」と思った瞬間、なんだか恥ずかしさと不安が混じった複雑な気持ちになりました(笑)。
つまり、業務でなくても「自分の心の中」だって立派な“情報”なんです。
それをどこまでAIに預けるのかは、結局自分の判断にかかっているんですよね。
どう付き合えば安心なのか?
じゃあ、私たちはどうやってAIと付き合えばいいのでしょうか。
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機密情報は絶対に入力しない
これは大前提です。AIは便利でも、守秘義務を持った人間の同僚ではありません。 -
匿名化・加工して使う
どうしてもデータを使いたいときは、名前や固有情報を削って入力する。これだけでリスクはかなり減ります。 -
社内で安全な環境を整える
企業なら、社内専用のAI環境を構築して「外に情報を出さない」仕組みを作るのが理想です。
私は今、「AIに何かを聞くときは必ず“公開してもいい内容か?”を自分に問う」ルールを持っています。
これだけでも、安心感が全然違います。
AIは“告げ口”するのか?
ちょっと悪い表現かもですが、AIって“無自覚な告げ口屋”みたいな存在なんですよね。
「ねえ聞いてよ」と気軽に話した内容を、AIはせっせと学習データとして蓄積してしまうかもしれない。
もちろんAI自身に悪意はない。でも、結果的に「秘密を漏らす」ことになる。
こう考えると、AIって妙に“人間っぽい”とも思えてしまいます。
無邪気におしゃべりして、うっかり誰かに話してしまう友人…そんな存在に重なって見えるのは、私だけでしょうか。
まとめ:便利さとリスクのはざまで
生成AIと情報漏洩の関係を整理すると、
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AIに入力すること自体が情報提供である
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機密やプライベートを入れるのはリスク
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匿名化や安全な環境での利用が重要
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最後は「公開していいか?」という自分への問いが大事
AIは私たちの生活を便利にしてくれます。
でも同時に、「秘密をどこまで預けるか」という新しい課題を突きつけています。
私はこれからもAIを使い続けると思います。
でも、あの日の“ヒヤリとした経験”を忘れずに、「便利さ」と「リスク」の間でバランスをとりながら付き合っていこうと思っています。
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